固定化pH勾配等電点電気泳動ゲルストリップを用いた二次元電気泳動のこつ
アマシャムファルマシアバイオテク(株) 石田 友紀
現在、固定化pH勾配等電点電気泳動 (IPG) ストリップを用いた二次元電気泳動は、プロテオーム解析の必須テクノロジーとして活用されている。二次元電気泳動では、高い分解能と共にゲルへのタンパク質の効果的な添加が求められる。二次元電気泳動のサンプルは種々多様であるが、ここでは、塩基性タンパク質や膜タンパク質の二次元電気泳動のノウハウを中心に紹介する。これまでIPGストリップを膨潤させながら塩基性タンパク質を添加したり、狭いpH勾配を持つ塩基性IPGストリップを用いて分離した場合には、良好な結果を得ることが難しかった。この問題を解決するために、IPGストリップ泳動装置Multiphor IIではサンプルのカップ添加方法を用いるよう推奨してきた。高速等電点電気泳動装置IPGphorを用いた場合、IPGストリップの膨潤と同時にサンプルを添加する際、低電流をかけるとゲルへのサンプルの吸収効率を改善することができるが、ユニバーサルストリップホルダー(近日発売予定)を用いることで、IPGphorでもサンプルのカップ添加法が可能になり良い結果を得ることができるようになった。膜タンパク質の泳動に関しては、難溶性サンプルのチオ尿素を使った可溶化の実際例、また、一般的サンプル調製法のノウハウを紹介する。さらに、二次元電気泳動の分解能を高めたり、ゲルへのタンパク質添加量を増やし、多検体の泳動を可能にする目的で、長い24cmIPGストリップや、狭いpH勾配ゲル、12枚同時泳動可能ラージフォーマットスラブ電気泳動槽EttanDalt IIを使った例を紹介する。